2026.10.20
生成AIに社内の情報を入れてよいか|学習に使わせない設定と社内ルール

生成AIに会社の情報を入れてよいかは、どのプランで使うかと、何を入れるかで決まります。会社向けのプランなら、ChatGPT・Claude・Gemini のどれも、入力した内容を初期設定のまま AI の学習(性能を上げるための材料)に使いません。個人向けのプランで使うなら、学習に使わせない設定にしてから入れます。
顧客の名前や連絡先といった個人情報は、もう一段慎重に扱います。本人の同意なしに入れるなら、AI の提供元が学習に使わないことを先に確かめるよう、個人情報保護委員会が事業者に求めています。
そのうえで社内では、入れない情報、使うサービスとプラン、外に出す前に誰が読むかの3つを決めておきます。IT の担当者がいない小さな会社を想定して書きました。設定の場所と各社の扱いは、2026年10月時点の公式ページで確かめた内容です。
会社向けのプランは学習に使われない。個人向けは設定しだい
次の会社向けのプランは、入力した内容を初期設定のまま学習に使いません。
- ChatGPT:Business、Enterprise
- Claude:Team、Enterprise
- Gemini:Google Workspace(会社のアドレスで使う Google のサービス)のアカウント
個人向けのプランは、設定しだいで学習に使われます。
- ChatGPT:無料版、Plus、Pro
- Claude:Free、Pro、Max
- Gemini:個人の Google アカウント
社員が自分の個人アカウントで使っていると、学習に使うかどうかが人ごとに違ってしまいます。
入れてよいかは、情報の種類でも変わります。
- 公開済みの情報:ホームページの文章、配布済みのチラシなど。どのプランでも入れてかまいません
- 社内だけの情報:見積もりの金額、企画の中身、売上の数字など。学習に使われない状態でだけ入れます
- 個人情報:顧客や社員の名前・連絡先・相談の中身など。後の「顧客の個人情報は」の節で書く確認をしてから入れます
個人向けのプランなら、学習に使わせない設定にする
個人向けのプランでも、設定を変えれば学習に使われなくなります。
ChatGPT は「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする
「設定」から「データコントロール」を開き、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。スマートフォンのアプリにも、同じ名前の項目があります。
一度きりの相談なら「一時チャット」も使えます。一時チャットの内容は学習に使われず、画面の履歴にも残りません。ただし OpenAI 側には、安全のために最大30日間保存されることがあります。
Claude はプライバシーの設定で、改善に使う項目をオフにする
「設定」のプライバシーの画面に、会話を Claude の改善(学習)に使うかどうかの項目があります。これをオフにします。
Claude の Free・Pro・Max では、2025年8月から、学習に使うかどうかを利用者が選ぶ形になりました。使ってよいと選ぶと会話は5年間、選ばなければ30日間保存されます。履歴を残さない「シークレットチャット」で話した内容は、改善に使う設定をオンにしていても学習に使われません。
Gemini は「アクティビティの保存」をオフにする
個人の Google アカウントでは、「Gemini アプリ アクティビティ」の画面で「アクティビティの保存」をオフにします。オフにしたあとのチャットは学習に使われません。応答やフィードバックの処理のために、72時間は保存されます。
オンのままだと、サービスの改善のために Google の担当者がチャットの一部を読むことがあります。担当者が読んだチャットは、アクティビティを削除しても最長3年残ります。
会社の情報を入れた会話では、評価ボタンを押さない
回答の下にある高評価・低評価のボタンを押すと、その会話はフィードバックとして別に扱われます。学習をオフにしていても、評価を送った会話は学習に使われることがあります。
- ChatGPT:評価を送ると、その会話全体が学習に使われることがある
- Claude:評価を送った会話は最長5年保存され、学習に使われることがある。会社向けの Team と Enterprise も同じで、管理者は「Rate chats」の設定で評価のボタンを止められる
- Gemini:アクティビティの保存をオフにしていても、フィードバックを送った会話は学習に使われることがある
顧客の個人情報は、学習に使われないと確かめてから入れる
顧客や社員の個人情報を入れるなら、その AI が学習に使わない状態かを先に確かめます。根拠は、個人情報保護委員会が2023年6月2日に出した「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」です。事業者に向けた注意点は2つあります。
- 個人情報を入れるのは、その情報を集めたときの目的に必要な範囲にとどめる
- 本人の同意なしに入れた個人データ(名簿のように整理して管理している個人情報)が、回答を返す以外の目的に使われると、個人情報保護法に違反するおそれがある。そのため、提供元が学習に使わないことなどを十分に確かめる
たとえば問い合わせのメールを AI に要約させると、メールに書かれた名前や電話番号も一緒に送られます。学習に使われない状態かどうか分からないなら、名前や連絡先を消してから入れます。
社内ルールは、入れない情報・使うプラン・確かめる人を決める
小さな会社なら、まずは次の3つを決めれば始められます。総務省と経済産業省は、2026年3月31日に「AI事業者ガイドライン」の第1.2版を出しました。事業で AI を使う会社には、個人情報や機密情報を不適切に入れないこと、提供元の規約を守ることなどを求めています。法律のような強制力はありませんが、社内ルールを作るときの目安になります。
入れない情報を言葉にしておく
最初の節で分けた3種類をもとに、「社内だけの情報は、学習に使われない状態でだけ入れる」「個人情報は名前や連絡先を消してから入れる」のように書いておきます。取引先と秘密を守る約束(秘密保持契約)を結んでいるなら、その約束で外に出せない情報は、設定にかかわらず入れない側に加えます。
使うサービスとプランを決め、設定を確かめる
会社として使うサービスとプランを決めます。会社向けのプランを契約すれば、一人ひとりの設定に頼らずに済みます。個人向けのプランを使うなら、学習に使わせない設定の画面を、使い始める前に全員に見せてもらいます。
AI が書いたものを外に出す前に、人が読む
AI の答えは、間違っていることがあります。ガイドラインも、AI の答えの正確さとリスクを理解したうえで使うよう求めています。お客さまに送るメールやホームページに載せる文章について、出す前に誰が読むかを決めておきます。
よくある質問
無料版のまま社員に使わせてもいい?
かまいません。ただ、ChatGPT・Claude・Gemini の無料版はどれも個人向けのプランです。全員が学習に使わせない設定にしたことを確かめてから使い始めてください。社内だけの情報や個人情報を入れるなら、会社向けのプランのほうが安心です。
学習をオフにすれば、何を入れても大丈夫?
いいえ。学習をオフにしても、内容は提供元のサーバーに一定の期間保存されます。ChatGPT は一時チャットでも最大30日、Claude は学習を選ばなくても30日、Gemini はアクティビティの保存をオフにしても72時間です。取引先との約束で外に出せない情報は、設定にかかわらず入れないでください。
以前に入れてしまった情報はどうなる?
すでに学習に使われた内容は、設定をオフにしても取り消せません。Claude の提供元の Anthropic は、学習を終えたモデルからは、オフにしたあとも消えないと説明しています。気づいた時点で設定を変え、それ以降の会話が学習に使われないようにします。
まとめ|プランを決め、設定を確かめ、入れない情報を決める
会社の情報を生成AIに入れるなら、学習に使われない状態にしてからにします。会社向けのプランにするか、個人向けのプランで学習をオフにするかのどちらかです。顧客の個人情報は、学習に使われないと確かめられなければ、名前や連絡先を消してから入れます。
社内ルールは、入れない情報、使うサービスとプラン、外に出す前に誰が読むかの3つから始めます。設定の名前や場所は各社がときどき変えるので、下の公式ページで最新の内容を確かめてください。
参考にした資料
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(個人情報保護委員会、2023年)
- AI事業者ガイドライン(第1.2版)(総務省・経済産業省、2026年)
- データコントロールに関する FAQ(OpenAI、2026年10月確認)
- How your data is used to improve model performance(OpenAI、2026年10月確認)
- Is my data used for model training?(個人向け、Anthropic、2026年10月確認)
- Is my data used for model training?(会社向け、Anthropic、2026年10月確認)
- Updates to Consumer Terms and Privacy Policy(Anthropic、2025年)
- Gemini アプリのプライバシー ハブ(Google、2026年10月確認)
- Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ(Google、2026年10月確認)